全部嘘です

私は変な意味で自分のことを特別だと思っていたんだな。私が死んでも誰も気にとめない、何も変わらない、私だけがひっそり消えて全てが解決するって本気で思ってた。自分が死んで与える影響は実際死んでみないと分からないけど、でも実際そんな単純な話じゃないよ。死んで諸々の手続きが済んだら忘れた頃に幸せになることなんてない、幸せは別のことで見つけられるかもしれないけど、死んだことは簡単に忘れられるわけがない。そうやって、何となくだけど今死なない理由を見つけると、今度は別のことが怖くなる。私だけ生きてても意味ないよ。そんなこと言えないけど。死んではいけない理由を見つけた今の方が、毎日を生きるのが怖い。「私が消えればいい」を頑張って消して、生きてみようと思った結果、人を失う怖さが残った。

怖いです、本当は。今日も明日もその先もずっとみんなが生きていてくれるか。 知らないところで私の大好きな人達が死の危険に晒されているんじゃないか。私一人生きる意味を見つけたからってなんなんだ。こんなの、こんなの人生から離脱しようとしてた時の方がよっぽど幸せだったんじゃないか。自分が死ぬのは怖くないもん。最初は怖いとか言っちゃうかもしれないけど、それでも人が亡くなることに比べたら。その方が怖いよ。普段から自殺を匂わせている人達は、少しSNSの更新が止まるだけで動揺する。でも、普段明るくて「死にたい」なんて簡単に口にしないような、私と正反対の人達だって死なないとは限らない。本当はみんな死と隣り合わせ。私だけが特別なんじゃない。私が先に死ねる保証なんてない。怖い、怖いの。どうしたらいい？

今日有名人が自殺したという呟きが回ってきた。双極性障害だったらしい。双極性障害の躁状態は一番自殺率が高いんだって。そんなこと昔から知ってた。でも身近でこの病気なのは自分だけだったし、私が躁の時にうっかり死んでしまうことくらいどうでもいいと思ってた。自分のことしか考えていなかった。日記を書いていたら泣きそうになってきた。

本当は腕の痛みのせいでイライラしたり悲しんでる訳じゃない。一人で今夜を乗り越えられそうになくて、気持ちが落ち着かなくて辛いのだ。何も手に入らなかった頃の方が頑張ってた、キラキラしてるようには見えなかったかもしれないけど一人で戦えてた、強かった、大丈夫だったのに。

私の事情全てを知ってもらわなくても、直接「あなたを助けてあげる」なんて言葉をかけてもらわなくても、みんなの存在が「救い」で、「生きる意味」で、「今夜自殺しなくていい理由」で、「これからも生きていきたいと思う理由」だった。
もう一人の私へ、人を頼っている自分がそんなに気持ち悪くて許せないですか？「みんなはいいけど、私はダメ」なのはどうして？
あと心の拠り所としているだけで、今まであなたが誰かに直接助けを求めたことは無いよね？
美術館で疎遠になってしまった知人に連絡したくなった時だって、そんな理由で連絡するのはおかしい、ずるい、私は最低なヤツだ、って繰り返し言ってたけど、相手はそんなこと全く知らないよ。
いつもから向こうから声をかけてくれるのを待っているのも、寂しくてずっとスマホを眺めてることも、連絡を待ってから寝るのも、全部全部みんなは知らないよ。変な理由で手紙を書きたくなったって、本当は悪いことじゃない。でもずっと謝っている。急に手紙を書きたくなってごめんなさい、って。心の中で思うこともずるいのかな。だめなのかな。これは利用じゃないの。みんなのこと好きなの。これまで私もみんなに声をかけてきた。みんな死んで欲しくなかったし、みんなが日常の苦しみから解放されればいいと思ってたし、みんなの疲れが癒されたり一瞬でも嫌なことを忘れられるなら、私はいくらでも話に付き合うよ、って思ってた。私、見返りを求めてたわけじゃない。私がした分だけ返して欲しいなんて思わない。でも私だって弱る日もあるよ。ていうか本当は毎日泣いてるよ。
心配かけたくなくていつも「大丈夫」って言ってるけど、本当は元気だった日なんてない。いつも「私も助けて」と思いながら人と話してる。話聞いてる時、怖くて泣きたくて死にたくなることもある。「詩音ちゃんもいつでも連絡してね」で出来たことなんてない。
馬鹿みたいだな。26にもなれば流石に泣き疲れてしまう。疲れた。