逃避行

山の中に廃れたプリクラ機のようなものがある。プリクラ機というか証明写真機に近い。本当に道路の住みに突然、公衆電話みたいな形で置いてある。私たち(4人でいた)は、深夜2時にもかかわらずその機械で写真を撮ろうとする。しばらく遊んでいると、山の中に私たち以外の足音が響いていることに気がつく。プリクラ機は鍵付きのドアで開閉でき、電気も消せるので、一旦鍵をかけて中に篭もる。何故かこの時、外に居るのは不審者であると確信している。誰かが通報したのか、もう既に警察がいたのか、私たちが機械の中で隠れていると、外にいた銃を持った警察官が「そこから絶対に動かないで」と声を掛けてくる。警察官は3~4人いた。泣きそうになりながら必死で息を潜める。

不審者の男が発砲する音が聞こえる。男は!私たちの姿を見たわけではないが隠れているのは分かっている様子で、私たちのいる方向に向かって発泡した。機械から飛び出して逃げている間もずっと狙われる。

 

逃げている時にどこからともなく簓が現れ、手を取って連れ出してくれた。このまま上手く逃げて死んでしまった方が楽なんじゃないかと思っていると、簓も同じ考えだったのか、彼も突然全てを捨てて死のうとする。私も少し前まで死にたい時はすぐ死のうと思ってたし、自分にまつわるものは全部消したいと思ってたけど、簓がそういう行動をとるとは思っていなかったので少し驚く。簓が2階のベランダから飛び降りるのを見て私も後に続く。お互い怪我もなく綺麗に着地したあと、簓が「バレなくてよかった」と笑う。たった今飛び降りた人とは思えない態度で。

それを見て、やっぱり簓は自分とは正反対の人間(今までにもあったことの無い人種)だけど、絶対簓みたいな人間が必要だし、出会えてよかった、などと考えている。