10年越しの告白

後にも先にもこんな機会は巡ってこない。言いたいことを言うなら今しかない、とハッキリと思った。

 

教師を呼び止めて、私はこう告げた。

「私死にたいんです」

それから、こう続けた。

「死のうと思っています」、と。

 

言ってしまった。ついに。でも後悔はない。どんな言葉が返ってきたって後悔はない。今更謝罪してほしいとも思っていない。その人の記憶の片隅に残ればいいと思っただけだ。

それでも、きっとまた理不尽に怒鳴られるんだろうな、と足元に視線を落としていると、返ってきたのは意外な言葉だった。

 

「そんなに辛かったのか、苦しかったのか」

泣きそうな顔をしていた。

記憶の上書きが出来たような感覚になった。