悲しいのに一滴も涙が零れない。だから代わりに脳内にいる自分に暴力を振るって、泣かしてる。髪を掴んで引きずって殴る。突き飛ばす。部屋の隅に逃げる私目がけて、物を投げる。近くにおいてあった本で思いっきり頭を叩く。痛い、ごめんなさいと泣く私に「死ね」と言う。そうすると、ようやく脳内にいる私が代わりに泣いてくれてるので、ちょっと落ち着く。

多分満たされなさを、こうやって酷いことを言われたり暴力を受けるのを想像して解消しようとしているんだと思う。ここ数日ほど、突き飛ばされて暴言吐かれて泣く、というのを一通り頭の中で想像してる。そうすると落ち着く。

原因のない痛みや、もやもやした気持ちをどうにかしたくて、暴力ははっきりとした痛みや傷として残るから、痛みに理由をつけたくてこんなことをしてるんだと思う。手首を切らない代わりに。

理由のない悲しさが1番辛いから、どうにか自分で理由を見つけようとしているんだろう。手首を切って、「痛いから泣いてるんだ」と言い張る。そうやって無理矢理にでも痛くして、説明のつかなかったモヤモヤに理由をつけて、「だから私は泣いたんです」って、納得したいんだな。多分。突き飛ばされたいし、髪でも思いっきり引っ張られたい。そうでもしないと泣けないし、諦められない。もういい、ここまでされたから、って引き下がることが出来る。そこまでしてようやく許される気がする。消えたい。階段から突き落とされて大怪我負いたい。

赤ちゃんみたいに泣きたいだけなのに、何か理由もなく泣いたらダメな気がして(理由がないというより説明つかない感じ)、前後にこういう暴力うけることを想像してしまう。そうすれば泣いても許されるって思ってるわけじゃないけど。

 


寂しいね、悲しいね。脳内の私が、殴られて鼻血を出している。首に手の跡が残っている。お腹と太ももに内出血の痕がある。それだけで十分って思えたらいいのにな。足りないの。

脳内の私よ、もっと泣けばいい。現実の私の代わりに泣いてください。