脱衣所に見たことも会ったこともない女性がいる。
でも私はこの女性を"お姉さんである"と確信している。お姉さんはお風呂上がりでバスタオルを巻いたままの無防備な状態だったが、私の耳に垂れ下がっているピンクのイヤリングを勝手に手に取り「可愛い。つけさせて」と言ってくる。
そして耳に当てて屈託のない顔で笑いながら「似合う?」と言うのだ。その様子を見ていたら、私はなんだかとても切なくて、寂しくて、不安でたまらない気持ちになってお姉さんに抱きつく。自分の気持ちを言葉に出来ないまま、しばらく抱かれながら静かに泣いた。